産後太りに悩んでいながらも、なにをしていいかわからず、ダイエットに取り組めていない人も多いのではないでしょうか。産後ダイエットの成功の秘訣は「骨盤ケア」です。
そこで、この記事では、産後太りの原因と、失敗しない効果的な産後ダイエット方法についてご紹介していきます。
産後太りの原因は3つある
女性の身体は、妊娠・出産を通し、新たな命を守るために様々な変化が起きています。
例えば、妊娠中は赤ちゃんがいる子宮を守るために体脂肪がつきやすくなっていたり、子宮が大きくなるにつれて腹筋が伸びたり、出産が近づくと赤ちゃんがスムーズに産道を通れるように骨盤が開いたり・・・。そして、無事新しい命が誕生したあとは、徐々に体型や体重は元の状態に戻っていくはず。
ところが、思うように体重が減らずに悩むママも少なくありません。そもそも、妊娠・出産を経て増えた体重や変化した体型は、ただ単に脂肪が増えただけではないからです。
まずは、産後の身体の状態を知ることで、効果的なダイエット方法を学んでいきましょう。
産後に体重が増えたり、思うように体重が減らないときに考えられる原因は大きく分けて3つあります。
産後太りの原因①骨盤の歪み
出産のために開いた骨盤は、出産後になると徐々に元の状態に戻っていきますが、骨盤のまわりの筋力が低下していると、なかなか開いた骨盤が元に戻らないことがあります。
骨盤が開いたままだと、骨盤周囲の筋肉が緩んだままの状態となり、筋肉が収縮しにくくなるため、エネルギーの消費も低下してしまいます。すると、基礎代謝の低下につながり、ますます悪循環となってしまいます。
また、赤ちゃんを抱っこしたり、荷物を持ったりするときに、左手ばかりあるいは右手ばかり使うなどしていると、筋力に左右差が出やすくなるため、骨盤の歪みがさらに大きくなってしまう場合もあります。
骨盤の歪みを放置すると、内臓の位置が下がるとともに血液の流れや代謝が悪くなって痩せにくくなるだけでなく、冷え性や腰痛といった症状が出てくる可能性もあります。
産後太りの原因②基礎代謝の低下
妊娠中はお腹の赤ちゃんを守るために体脂肪が増え、運動量が少なくなることにより筋肉量が減るため、基礎代謝が低下しやすくなっています。
産後太りの原因③食生活の乱れ
妊娠中は赤ちゃんに十分な栄養を行き渡らせるため、なにかと食生活に気をつけていたものの、出産後は赤ちゃんのお世話で忙しく、ママの食事は手軽に食べられる菓子パンなどで簡単に済ませたり、授乳やストレスにより小腹が空いて間食が多くなってしまったりと食生活が乱れがちになるママも少なくありません。
産後ダイエットに必要なのは、心のゆとり!
産後の身体は通常の状態ではないため、やみくもに食事制限や有酸素運動、筋トレをしても逆効果となる場合もあります。もちろん、短期間で痩せるためのストイックなダイエットは体調を崩す原因になるので、おすすめできません。きちんとタイミングを見計らい、ポイントを押さえながらご自身の身体の状態に合ったダイエットプランを立てて実践することで、効果的な産後ダイエットとなります。
とは言っても、赤ちゃんのお世話で大忙しの中なかなかうまく計画どおりにいかない、と悩むことはありません。産後ダイエットに「ストレス」は大敵です。タイミングとポイントさえ押さえていれば、あとは続けることが大切です。
自分ひとりで頑張ろうとせず、周りのひとに協力してもらいながら、心のゆとりを持って実践していきましょう。
「産褥期の過ごし方」がママの身体を大きく変える!?産後ダイエットはタイミングが大事!
赤ちゃんが生まれたら、自然に体型や体重は元に戻るだろうと気楽に考えていたものの、いざ出産を終えてみると、思ったほど体重が減っておらず、焦り感じているママさんたちもたくさんいらっしゃると思います。
「今すぐにでも体重を減らしたい!」と産後の身体を無理してダイエットに取り組んでも逆効果となる場合もあります。産後ダイエットに大事なのは“いつ始めるか”です。
産後6〜8週間までの期間のことを「産褥期」と呼び、産後のママの身体にとって、回復するための大事な時期でもあります。この「産褥期」の過ごし方が、産後ダイエットに大きく関わってきます。
産後ダイエットのタイミング:産後1〜2週目の時期は?
悪露や子宮収縮、ホルモンバランスの変化などが見られるため、身体に負担がかかりやすくなっています。まずはしっかり休んで身体の回復のため自分の身体をいたわってあげることが大切です。
この時期に無理をすると、その後の回復が遅れたり、乳腺炎や産褥熱、子宮復古不全、静脈血栓症などの身体の異常を起こしやすくなります。体調次第で、産後1日目から始められる産褥体操を取り入れてみてもいいかもしれません。
産後ダイエットのタイミング:産後3〜4週目の時期は?
体調が良いときには、少しずつ簡単な家事などから始めてみましょう。この時期には、産後および生後1カ月の検診があるため、医師や助産師からの診察を受け、身体の回復が順調であれば、軽めの産褥体操やストレッチを取り入れて習慣化しておくと、産褥期を過ぎたあたりからの運動をスムーズに始められます。
産後ダイエットのタイミング:産後5〜8週目の時期は?
ウォーキングなどの軽い運動を少しずつ取り入れていきましょう。まだ身体の回復が十分ではないため、本格的なダイエットは産後3カ月以降の開始がおすすめです。
妊娠中に蓄えられた脂肪は、少しの運動で消費しやすく落としやすいと言われています。しかしながら、時が経つにつれ、蓄えられた脂肪が硬くなってしまうと、落としにくくなります。目安としては、産後6カ月頃までに妊娠前の状態に戻っていることを目指して取り組んでいきましょう。
産褥期の過ごし方は「自分をいたわりながら過ごすこと」が大切です。この時期に、焦って無理をしてもいいことはひとつもありません。自分の身体と向き合い、本格的な産後ダイエットを始めるための、心と身体の準備期間と捉えましょう。
産後の食事はママの身体をつくるチャンス!?産後ダイエットの食事について
出産で増えてしまった体重を落とすためには、「食事制限をしなきゃ」と思われるママさんたちも多いかもしれませんが、産後のダイエットのポイントは、食事制限ではなく「栄養バランスのよい食事をしっかり食べること」です。
特に母乳育児をする場合は、ママが摂った栄養は赤ちゃんにも行き渡るため、ママにとっても赤ちゃんにとっても栄養バランスのよい食事が重要となります。また、授乳をするママの場合は、成人女性の1日の平均的なエネルギー必要量よりも350kcalほど多くエネルギーを摂取することが推奨されています。
母乳はママの身体の中にある血液や栄養素などから作られていきますので、赤ちゃんの成長や身体づくりはママ次第!また、ママの身体を中からリセットし、新たに身体づくりを始めるチャンスでもあります。
栄養満点の質の高い母乳を作り出すには、和食を中心とした「薄味・低脂肪・高タンパク」の食事がおすすめです。塩分や脂肪分の多い食事は、血液の粘りが増すため、母乳が出づらくなったり、乳腺炎の原因となることも。また、塩分を摂りすぎると、カルシウムの吸収が妨げられてしまうため、赤ちゃんの骨の成長に影響するだけでなく、塩分が増えてくると、身体は水分を排出しないようにはたらきますので、ママのむくみの原因にもなってしまいます。
キュウリやバナナ、アボカドなどに含まれるミネラル成分であるカリウムが塩分排出を助けてくれるので、カリウムが多く含まれる食品を積極的に食べるようにしましょう。
【産後ダイエット】産後のママにおすすめの食生活のポイント
①水分と食物繊維をしっかり摂る
母乳を作るためにママの身体の水分が使われるため、ママの身体は脱水状態になりがちです。
1日2リットル程度の水分を飲むように心がけましょう。また、水分が不足気味になると便秘を引き起こすこともあります。質の良い母乳を作るためにも、食物繊維をしっかり摂り、老廃物を身体にため込まないようにしましょう。
②カルシウムをしっかり摂る
カルシウムは赤ちゃんの骨を育てるために大切な栄養素です。授乳中のママは母乳作りにたくさんのカルシウムを使われるため、骨や歯がもろくなりやすくなっています。ママの身体の骨密度を守りつつ、赤ちゃんにもしっかりと行き渡るように、カルシウムが多く含まれている乳製品や小魚などを積極的に摂りましょう。カルシウムの吸収率を高めるビタミンDを一緒に取り入れることもおすすめです。
③鉄分や葉酸をしっかり摂る
授乳中はたくさんの血液が母乳作りに使われるため、血液を作り出すために重要な栄養素をしっかり摂る必要があります。納豆やほうれん草、ひじきや小松菜など鉄分や葉酸が多く含まれる食品を積極的に取り入れましょう。
④良質なタンパク質をしっかり摂る
タンパク質には筋肉量を維持したり筋肉をつくったりする役割もあるため、筋肉量が減り、基礎代謝が低下している状態のママにとっては、産後ダイエットのために欠かせない栄養素です。
また、赤ちゃんの身体づくりのためにも必要な栄養素であるので、良質なタンパク質が多く含まれるささみや豆腐、乳製品などをしっかりと摂りましょう。
⑤ビタミンCをしっかり摂る
ビタミンCは免疫力を高めるためにも必要な栄養素であることは有名ですが、単体では吸収されにくい鉄分と一緒に摂ることで、鉄分の吸収を高められます。また、ストレス解消効果や母乳の分泌を促す効果もありますので、産後のママにぴったりの栄養素です。
産後ダイエットの前に「産褥体操」でウォーミングアップ!
「産褥体操」という言葉をご存知でしょうか。
産褥体操とは、産後に行う軽い体操のことです。産後6〜8週目くらいまでの産褥期には、ママの身体はまだ十分に回復できていないため、ママの身体の負担にならないよう、寝た状態でもできる体操も多く紹介されています。産褥体操で運動する習慣を身につけておくと、産褥明けにスムーズに産後ダイエットを始めやすくなります。
産褥体操の目的としては、
- 悪露の排出を促し、子宮の回復を促進する
- 妊娠・出産により伸びたお腹まわりの筋肉および骨盤底筋の筋肉の回復を促す
- 出産後の疲労を心身ともに回復させる
- 血液の循環を促し、静脈瘤や血栓の形成を予防する
- 便秘改善や母乳の分泌を促す
などが挙げられます。
「産後ダイエット」というよりは、産後のママの回復を目的とし、本格的な産後ダイエットを始めるための準備運動と捉えるとよいでしょう。骨盤ケアを意識した産褥体操は産後1ヶ月頃から始めてみましょう。
■産後1日目からできるおすすめの産褥体操
①深呼吸や胸式呼吸、腹式呼吸をゆっくりと行う
②足首の体操・・・仰向けで寝た状態で、足のつま先を上や下に曲げたり伸ばしたりすることで血流をよくします。
無理のない程度に少しずつ動きを増やしていくことで、身体の回復に効果的です。
いよいよ本格的始動!教えます、産後ダイエットの方法とは
出産により開いた骨盤は、時間をかけてある程度は自然に閉じていきますが、骨盤の中に脂肪がたまった状態のまま骨盤が固定され始めると、骨盤が締まりきらずに開いた状態のままとなり、正しい位置に戻ることができなくなってしまいます。
骨盤の中に取り残された脂肪は簡単に取り除けなくなり、内臓の位置も下に下がってきてしまうため、血流や代謝が悪くなってしまい、痩せにくい身体となってしまうなど悪循環に陥ります。骨盤が固定され始めると言われている産後6ヶ月頃までに、骨盤を引き締めておきましょう。
産後ダイエットのポイントは、まずは「体力をつけること」です。産後のママは赤ちゃんのお世話で大忙し。体力がないと赤ちゃんの成長にもママの身体にも悪影響を及ぼします。体力をつけるためには、毎日少しずつでもいいので、なにかしらのエクササイズ等を継続することがポイントです。「継続は力なり」と言われているとおり、継続することで体力をつけていきましょう。
普段のダイエットと異なるのは、「骨盤の位置を元に戻す」ことを意識して行うことです。産後は、骨盤の位置が変わっているため、歪みなどなく正しい位置に戻すことで、バランスのよい太りにくい身体を作ることができます。骨盤の位置を元に戻す前に筋肉をつけると、筋肉のバランスに左右差が出たりすることで、骨盤の歪みの原因にもなってしまいます。
産後ダイエットは、最初に体力をつけるために運動を「習慣化」し、骨盤の位置を元に戻すことを意識したエクササイズやストレッチを行いながら、筋肉量アップを目指す、という流れがおすすめです。
産後ダイエットの方法①赤ちゃんと一緒にお散歩
週に1回、時間をかけてウォーキングをするよりも、短時間でも毎日続けることが効果的です。
1日に30分あるいは1日に10分間を3セットでもOKです。ウォーキングをするときには、歩きやすい靴を履き、姿勢を意識しながら歩くことがポイントです。
赤ちゃんを片方の手で抱っこしながらのウォーキングは筋肉の使い方に左右差が出るため、骨盤の歪みが大きくなってしまいますので注意しましょう。
産後ダイエットの方法②骨盤を正しい位置に戻そう!「骨盤体操」
骨盤体操その①
- 仰向けに寝た状態で膝を90度に曲げる。
- 両手は真横に伸ばし、手のひらを床につける。
- 両方のひざをくっつけたまま、左右に倒す。
骨盤を正しい位置に戻すために効果的です。
10回を1セットとし、毎日3セット行うことを続けましょう。
骨盤体操その②
- 仰向けに寝た状態で膝を90度に曲げる。
- 両手は身体のラインにそって伸ばし、手のひらは床につけておく。
- 脚からお腹のラインが真っ直ぐになるように息を吸いながら腰を浮かせる。
- 腰を浮かせたままひと呼吸し、5秒キープしたら息を吐きながらゆっくりと腰をおとす。
腰が反らないように注意し、息を止めないようにして行いましょう。
5秒キープを1セットとし、毎日5セット行うことを続けましょう。
骨盤体操その③
- 両脚を前に伸ばして床に座り、お尻で歩くようにして前に進む。
このときに、腕もしっかり振ると肩こりの改善にもなり一石二鳥です。
お尻歩きで前に5歩進んだら、後ろに5歩下がるなどすれば、あまりスペースがなくても簡単にできる骨盤体操です。
また、赤ちゃんの首が座ってきたら、赤ちゃん膝に乗せて行うと、赤ちゃんとのスキンシップにもなり、ママにも適度な負荷がかかるため、おすすめです。
産後ダイエットの方法③産後ダイエットの方法に最適!「産後ヨガ」
ゆっくりな動きと腹式呼吸を取り入れながら、身体の柔軟性を高めていき、じっくりと筋肉に負荷をかけることができるヨガは産後ダイエットにぴったりな運動です。産後ヨガはダイエットだけでなく、腰痛軽減やストレス解消にも効果があると言われています。
また、産後のママはなかなか自分の時間がとりにくいものですが、そんなときには「ながらエクササイズ」を取り入れましょう。テレビを観ながら、授乳をしながら、赤ちゃんとスキンシップをしながら・・・など、なにかをしながら動きを取り入れることも立派なエクササイズとなります。
例えば、赤ちゃんを抱っこしながらスクワットをしてみたり、椅子に座ってテレビを見ているときには、赤ちゃんを膝に乗せ、脚を上げ下げしてみたりなどすると、適度な負荷がかかり、十分なエクササイズとなります。
「時間がとれない」と悩むよりも、「一石二鳥!」と楽しみながら、産後ダイエットに取り組んでいきましょう。
まとめ【産後ダイエットの成功の秘訣は骨盤ケアにあり!失敗しない産後ダイエットの方法とタイミング】
- 産後太りは、骨盤の歪み、基礎代謝の低下、食生活の乱れが原因です。
- 産後ダイエットの失敗しないコツは「ストレスを溜めないこと」、そして「タイミング」と「ポイントを押さえること」です。
- 産後ダイエットは産後3ケ月頃からが目安です。産褥期は回復のための最も大事な期間です。
- 産後ダイエットの食事のポイントは、食事制限ではなく栄養バランスの良い食事を摂ることです。
- 産褥体操は産後1日目からでき、産後ダイエットの準備期間に行うことのできる体操です。
- 産後ダイエットのポイントは、まずは体力をつけ、骨盤の歪みを正しい位置に戻し、その後筋力をつけていくという流れがおすすめです。
産後の身体は、妊娠・出産を経て様々な変化が起きています。産後の体重増加の原因を知り、早めの対処をすることで、産後ダイエットは成功するはずです。身体の状態に合ったケアを行い、無理なく自分のペースで行いましょう。