筋トレとは切っても切り離せない関係の筋肉痛。特に筋トレを始めてまもなくは筋トレをした翌日の激しい筋肉痛に悩まされた人も多いはず。
でも、筋トレを始めてしばらくすると徐々に筋肉痛にならない事も多くなり、筋トレが効いているのか不安になってくる人も多いと思います。
今回は筋肉痛のメカニズムと筋肉痛にならないと不安な人の為のその不安解決方法を紹介していきます。
筋トレしてるのに筋肉痛にならない…筋肉痛ってそもそも何?
①筋肉痛とは?
筋肉痛とは運動後数時間から数日後に生じる筋肉の痛みのことです。
この痛みは筋肉を激しく動かした際に「筋繊維」が傷つき、それを回復する過程で炎症が起こることで痛みが生じているものと言われています。
運動直後ではなく、一定の期間が経ってから生じるため、「遅発性筋肉痛」とも呼ばれています。
また「急性筋肉痛」と呼ばれるものもあります。こちらは運動中や運動直後に生じる痛みのことです。
筋肉に灼熱感のような痛みを感じるもので、長時間同じ姿勢で座っているだけでも起こることがあります。この急性筋肉痛の場合は、疲労物質の「水素イオン」によって引き起こされます。
一般的に筋肉痛と言えば前者の遅発性筋肉痛の事を指します。
②筋肉痛の原因ってなんなの?
筋肉痛は、当初疲労により蓄積される乳酸が原因とする説が有力でした。しかし、血液中の乳酸の量は運動後すぐに減少する事から、筋肉痛を引き起こす原因にはならない可能性がでてきました。[1]
そこで、先ほど登場した「筋繊維」の損傷を回復する際の炎症が原因なのではないか、という説がでてきました。
炎症によりブラジキニン、ヒスタミン、アセチルコリンなどの痛み物質とされるものが発生し、筋繊維を包む筋膜にその痛み物質が刺激を与えることで筋肉痛になるとする説が現段階では有力とされています。
筋肉痛があるということは、それだけトレーニングで筋肉を追い込んだという事で、筋肥大の指標になりえるとされています。
なぜ筋トレをしているのに筋肉痛にならないのか
【筋トレで筋肉痛にならない原因①】筋トレでの刺激に慣れた
筋トレをしても筋肉痛にならない原因として、筋肉が筋トレによる刺激に慣れたという可能性があります。
筋肉痛は、慣れない刺激が筋肉に与えられる事で生じますが、継続的に同じ重量、同じ部位を鍛えていたら、筋肉はその刺激に慣れてしまう仕組みになっています。
つまり、筋肉痛にならない人の多くは、筋トレでの刺激に慣れてしまった可能性があります。
これは筆者にも言えるのですが、多くのトレーニー達は自分なりのトレーニングルーチンを持っています。
「今日は背中の日だから、デットリフトをやって懸垂をやってラットプルダウンをやって…」と決まったトレーニングを繰り返すのです。
これではますます筋肉に慣れが生じてしまいます。
ですので、普段とは違ったトレーニングで筋肉を追い込むといった方法も慣れを打破するのに有効といえるでしょう。
【筋トレで筋肉痛にならない原因②】筋トレでの刺激に対しての回復力が高い
筋トレをしても筋肉痛にならない原因として、筋肉の回復力が高いという可能性があります。
筋トレによって筋肉が損傷すると筋肉痛が起きます。その後筋肉は修復作業に入りますが、修復作業の早さによって筋肉痛の痛みや長さが決まります。
その修復作業の早さは何によって決まるのかですが、これは2つの要因によって決まります。
1つ目は栄養です。
十分な糖質、たんぱく質、ビタミン等は筋肉の修復作業を早めます。
そして2つ目が睡眠になります。
筋肉痛になったとき、修復は主に寝ている間に行われ、寝ているときが日中起きて活動している時より回復率が高いとされています。
これは寝ている間に成長ホルモンが多く分泌されるからです。
成長ホルモンにはたんぱく質合成の作用があります。簡単に言えば筋肉を修復し、より強い筋肉を作る働きがあります。
できれば7時間程度の睡眠を取れると良いでしょう。
以上2つの要因によって筋肉の修復作業の早さは決まります。
この2つを満たしている場合、トレーニングによる筋肉の損傷を修復が迅速に行われ筋肉痛にならないということは十分起こりえます。
【筋トレで筋肉痛にならない原因③】筋トレで負荷が分散している
ジムで筋トレをしていると、身体、筋力に似合わない重量を扱ってトレーニングしている人を見かけることがあります。
この状態でトレーニングを行おうとすると当然筋力不足のため、その重量を持ち上げる事はできません。
しかし筋肉の不足分を他の筋肉の力や勢いを使って補い、重い重量を持ち上げることができます。
これをチーティングといいます。
チーティングは使い方によっては筋肉を追い込むことができるのですが、これをトレーニングのメインで行ってしまうと負荷が分散し、筋肉を十分追い込むことができなくなります。
例えばですが、肩の筋肉である三角筋。
鍛える種目で言えばサイドレイズが上げられますが、高重量で行うと正しいフォームで行えずチーティングを行ってしまうことになり、三角筋だけでなく首の筋肉である僧帽筋に刺激が入ってしまうことがよくあります。
筋肉を追い込むにはそれぞれ適した重量というものがあります。
重量が伸びずに停滞しているような時、いつもと刺激を変えたいという場合は別ですが、基本は大きい筋肉は高重量低回数、小さい筋肉は低重量高回数で追い込むと筋肉を追い込みやすいので実践してみましょう。
筋トレで筋肉痛にならない…でも!心配しなくてもよい理由
「なぜ筋肉痛にならないのか」で述べた通り、筋肉痛にならない場合でも筋肉への刺激に対して回復が追いついている状態である場合、心配せずに筋トレを継続してください。
でもその判断基準がわからないと不安ですよね。
その判断基準とは、きちんと筋肉が成長しているという事です。
では、筋肉の成長しているかの確認方法について紹介していきます。
筋肉が成長しているか確認する方法①筋トレでのセット数、重量、回数を確認する。
筋肉が成長してくると当然扱う重量、回数、セット数があがってきます。
筋肉痛にならない場合でも、重量、回数、セット数があがっている場合はそのままトレーニングを継続して行っていってください。
(ただし、回数、セット数に関してはあまり軽い重量で高回数、高セットで行うと筋肥大よりも筋持久力の意味合いが強くなるので注意してください。)
そこで便利になってくるのが筋トレノートです。
筋トレノートにはその日行ったトレーニングの内容(種目、重量、回数、セット数)とそのトレーニングの時に感じた事を書いていきます。
そうする事でただ感覚、記憶に頼るよりも筋肉の成長を確認しやすくなります。
また、私個人の意見として筋トレノートの最大のメリットは、記録しておくことでトレーニングの度に前回のトレーニングの振り返りを行う事ができることです。
それによりフォームの細かい修正や適正重量などがおのずと理解でき、筋肉を大きくする際の原則である、前回より重い重量、または多い回数をこなす事を達成しやすくなります。
特に自分が扱える最大重量を認識している人は多いですが、行っている回数までしっかりと覚えられている人は少ないです。
最近ではノートにわざわざ書かなくても、スマホのアプリで筋トレを記録できるものも出ているので、これを期にしっかりと筋トレの記録を残していきましょう。
筋肉が成長しているか確認する方法②見た目で確認する
筋肉が成長してくれば当然身体が変わってきます。
ただし筋肉はある日突然成長するのではなく、本当に少しずつ成長していきます。
そのため、毎日鏡でみてもその成長は感じにくいと思います。
そこで1~3ヶ月ほどおきに自分の身体の写真をとっておくことをお勧めします。
その写真で身体の変化が確認できるのであればトレーニングを継続してください。
写真を取る際のポイントはすべて同じ状況で取るということです。
光の加減や食べ物や水分の摂取量、トレーニング後か前かで身体の見え方は大きく変わってくるためです。
正確な身体の変化を知るために、写真を撮る状況を統一してください。
筋肉が成長しているか確認する方法③体重の変化を確認する
二つ目は体重の変化を見ることです。
筋肉が増えれば体重が増加していきます。
体重増加は筋肉が増えた事の一つの指標になるといえます。
しかし筋肉の増加には脂肪の増加も伴います。
体重が増加した時に筋肉増加の割合が多い、又は同程度の場合はトレーニングを継続してください。
できるだけ正確なデータを知るためには体重計だけではなく、体組成計での測定をお勧めします。
体組成計では筋肉量、脂肪量が体重計よりも正確に測定できます。
また相対的に自分の筋肉が多いのか少ないかも判断してくれるものもあります。
ジムなどに置いてある事が多いので是非自分の筋トレ現在地を確かめる意味でも測定してみてください。
ただし体組成計は種類によってデータが異なる事があるので、同じ種類のものを使って測定してください。
筋肉が成長しているか確認する方法④筋肉の大きさを実際に確認する
古典的な方法であり、測定できる部位も限られていますが実際にメジャーなどで筋肉の大きさを測定することも手軽でお勧めです。
特に腕や足などは簡単に測定しやすいです。
ただしこちらも筋肉だけでなく脂肪が増加した場合にも大きく数値が変わってきてしまうので、注意が必要です。
以上、筋肉の成長確認の3つの方法として①筋トレノート②体重測定③メジャーを紹介しましたが、どれも単体では正確性に欠けてしまいます。
そのためこれらの方法をそれぞれ試し総合的に判断するのが一番良いでしょう。
これらの方法で成長が見られないような場合に初めてトレーニング方法、食事、睡眠について見直しを行う事をおすすめします。
まとめ【筋トレしてるのに筋肉痛にならないのはなぜ?筋肉痛のメカニズムを理解した上で筋トレを行っていこう!】
①筋肉痛とは運動後数時間から数日後に生じる筋肉の痛みの事で、筋肉を激しく動かした際に「筋繊維」が傷つき、それを回復する過程で炎症が起こることで痛みが生じているもの。
諸説あるが、炎症により痛み物質が発生し、筋繊維を包む筋膜にその痛み物質が刺激を与えることで筋肉痛になるとする説が有力。筋肥大の指標ともいえる。
②筋肉痛にならないのは筋トレでの刺激になれた、筋トレでの刺激に対しての回復力が高い、筋トレで負荷が分散している事が挙げられる。
③筋肉痛にならないと心配しなくても、単純に筋トレでの刺激に対しての回復力が追いついている状態でなおかつ筋肉の成長が確認できるのであれば、現在の筋トレを継続して行ってよい。
④筋肉が成長しているか確認する方法は筋トレでのセット数、重量、回数の変化、見た目や体重の変化、実際に筋肉の大きさを確認し総合的に判断することが必要。
以上今回は筋肉痛のメカニズムと筋肉痛にならないと不安な人の為のその不安解決方法を紹介していきました。筋肉痛にこだわらずに筋肉が成長しているかに目を向けてトレーニングを行っていきましょう。
参考文献 [1]八田秀雄(著)、乳酸と運動生理・生化学―エネルギー代謝の仕組み―、市村出版より)
本記事のライター
「筋トレナースマン」
看護師歴6年目。筋トレ歴はホームトレーニー時代を含めると6年目。医療、解剖学的観点から筋トレにアプローチしていく。ボディメイクを世間に浸透させることが目標。