現代社会は多くのストレスに囲まれており、ストレス社会とも言われています。
そのストレスが肩や首が凝り固まって出てくるという方も少なくないのではないでしょうか。
ですがその凝りの原因、もしかすると「ストレートネック」からきているかもしれません。
という事で今回のキーワードは「ストレートネック」です。
この記事を読んでストレートネックを予防、改善し肩や首の凝りとはさよならしちゃいましょう。
【ストレートネック改善の前知識!】首の骨の構造
人間の頭は、”頸椎(けいつい)”と呼ばれる7つの首の骨で支えられています。
人間の頭は、成人で体重の約10%とされています。
つまり60キロの方であれば6キロ、70キロの方であれば7キロと言う事になります。頭部は意外と重いということが分かりますね。
頚椎が本来緩やかな湾曲を持っているのは、その重い人間の頭を支えるためといわれています。
【ストレートネック改善の前知識!】ストレートネックってなに?
先ほど説明したとおり、本来は湾曲をもつ頚椎。
しかし頚椎の湾曲がまっすぐになり頭の重心がそのまま首にのしかかり、その結果、体に様々な不調をあたえる「ストレートネック」という状態になる方が近年非常に増えてきているといわれています。
【ストレートネック改善の前知識!】ストレートネックの原因ってなんなの?
≪ストレートネックの原因①≫スマートフォンをやる際の姿勢
ストレートネックの原因。それはストレートネックの別名をきけばすぐにわかります。
ストレートネックは別名「スマホ首」と呼ばれており、スマホが大きく関わっています。
皆さんはスマホをどのような姿勢で操作していますか?
多くの方が、顔より下にスマホを配置しているのではないでしょうか。
そうなると自然にうつむく姿勢になりがちです。
すると頚椎は湾曲を失い一直線になってしまうのです。
その姿勢は頭部の重心を前にかけてしまうことになり、先ほども説明したとおり、首に大きな負担を与えます。
また、うつむく角度によって、首の骨にかかる負担の大きさが変わってくるとされています。
下記の表と画像を参照ください。
うつむく角度 | 首の骨にかかる負担 |
0度 | 約4~6㎏ |
15度 | 約12㎏ |
30度 | 約18㎏ |
45度 | 約22㎏ |
60度 | 約27㎏ |
この研究を行ったのは、ニューヨークの脊椎外科・リハビリ病院(New York Spine Surgery & Rehabilitation Medicine)の脊椎外科主任であるKenneth K. Hansraj氏。
コンピューターモデルを開発し、上の画像を作成しました。
表と画像を見るとわかるように角度が上がる、つまりうつむく角度が急になればなるほど首への負担は大きくなっているのがわかります。
お察しのとおり、こんな風に頭をうつむけて、首や背骨に大きな負荷をかけてしまっては、健康に良いわけがありません。
ところが平均的な人の場合、1日に2~4時間もこの姿勢でいるとのことでした。
米誌『The Atlantic』はこの研究結果を受けて、「立った状態でメールを読むのは、8歳児を頭に乗せているようなものだ」と述べたそうです。
また『Surgical Technology International』誌に掲載されたHansraj氏の論文には、姿勢が悪いと背骨に負担がかかり、摩耗や損傷、変形が若いうちから起きやすくなり、手術が必要になることもあるそうです。
スマホ使用時のストレートネックの予防・改善としてどんな姿勢が良いかと言うと、顔の高さまでスマホを持ってくることで、かなり頚椎への負担を軽くする事ができますので試してみましょう。
≪ストレートネックの原因②≫長時間のパソコン作業(デスクワーク)
長時間うつむき姿勢でパソコンを操作するなどのデスクワークはストレートネックの要因の一つです。
また適切なデスクワーク時の姿勢を記載しておきますので、デスクワークをするときには、意識的にこの姿勢を作ることでストレートネックの改善・予防になります。
- 目とモニターの位置
目とモニターの高さが合っていて、距離は40㎝が理想とされています。
- キーボード、マウスの位置
腕をまっすぐ下ろした状態から、肘を90度曲げて作業できる高さが理想的。
- 椅子の高さ
膝を90度の角度で曲げて、足の裏がしっかり床につく高さが理想的。
- 頭から骨盤までの位置関係
横から見たときに耳、肩、骨盤が一直線に並ぶ状態を保つこと。
≪ストレートネックの原因③≫同じ姿勢での読書
長時間のスマホ操作やパソコン作業と同じです。
椅子に座ったりしてうつむいた状態のまま読書をすることにより首に大きな負担をかけ、ストレートネック(スマホ首)になってしまうリスクが高くなります。
読書の際の適切な姿勢についても記載しておきますので意識するようにしましょう。それだけでストレートネックの改善・予防に繋がります。
- あごを引いて首を前に倒さない。
- 椅子に深く座る。
- 骨盤をしっかりと起こし背骨のS字カーブを保つような姿勢
背筋を伸ばして座ると骨盤が起き上がります。 - ひざの角度は約90度
足の裏全体が地面についた状態になることで、上半身の体重を分散させて腰の負担を軽減します。
≪ストレートネックの原因④≫高すぎる枕の使用
意外かもしれませんが、枕もストレートネックの原因になっています。
睡眠時、高すぎる枕を使用すると頸椎が圧迫され、首や肩に負担がかかってしまいます。
また、寝た状態ですのでそのままその状態が長時間続いてしまう事になり、寝起きに首や肩の痛みが生じてしまい、結果としてストレートネック(スマホ首)になってしまうことがあります。
枕の高さが適切で、さらに正しく枕を使っている状態で上を向くと、目線が真上よりやや下に向かっています。
しかしもし、あなたの目線が足の上の方に向かっている場合は、枕が高すぎる状態で、頭より後ろ側に向かっている場合は、枕が低すぎると状態です。
目線が真上よりやや下に向かっている状態でない場合で、肩こり首凝りなどの症状がある時は枕を変更してみたら改善され、良いかもしれません。
【ストレートネックの改善が大切!】ストレートネックに起因する主な症状
- 首痛・首こり・背中の張り
- 寝違い・首の可動域の減少
- 頭痛・頭重
- めまい・ふらつき・吐き気
- 顎関節痛・食い縛り
- 手・腕のしびれ
- 難聴・耳鳴り
- 視力低下・疲れ目・ドライアイ
- 自律神経失調・のぼせ
- うつ的症状・不眠・不安感
このように非常に多くの症状を引き起こすストレートネック。
ですがこれらの症状があったとしても、もしかすると他の疾患の症状から起因している可能性もあります。
ですので自分がストレートネックかどうかを確認することも非常に重要になります。
ストレートネック・セルフチェックリスト【改善が必要かどうか】
①1日3時間以上、継続したデスクワークをしている
②普段、ノートパソコンを使用している
③タブレットやスマートフォンの使用時間が1日1時間以上である
④首の左右への可動域が狭い
⑤首を後ろに倒し、上を向くと痛みや違和感がある
⑥頭が重く感じたり、締め付けられるような鈍痛がある
⑦猫背である腕や手に痺れを感じる
⑧高い枕を使用している
⑨壁にかかと、ヒップ、肩甲骨をつけて立った時に後頭部が壁につかない
5つ以上当てはまっていれば、ストレートネックになっている可能性が高い。
特に⑤以降にチェックが入った場合は、特にストレートネックの可能性が高まります。
ストレートネックの改善・予防のストレッチ
ストレートネックの疑いがあっても、首に効果的なストレッチを継続して行えば、正常なカーブを取り戻せることがあります。
【ストレートネック改善方法1】首の側面をほぐすストレッチ
①太ももの付け根近くにある座骨を座面にしっかりとつけ、背筋を伸ばし椅子に座ります。
②背中の後ろで手を組み、組んだ手を右の腰に当てます。
③鼻から息を吸って背筋を伸ばし、鼻からゆっくりと息を吐きながら頭を右に倒します。約20秒キープ。
④息を吸いながら上体を戻し、鼻から息を吐きながら手をほどきます。反対側も同様に行います。
こちらのストレッチのポイントとして、縮んだ筋肉を上手にゆるめるには、呼吸が大切。息を吸い、吸った息の2倍以上かけてゆっくりと細く長く息を吐きます。
吐く呼吸とともにこわばった部分をゆるませます。
【ストレートネック改善方法2】肩甲骨から首につながる筋肉をほぐすストレッチ
①背筋を伸ばし、両手を組み後頭部に当てます。
②体は正面を向けたまま、顔を右に向けた状態からアゴを引き、頭を下に倒します。
③②の状態から肘を閉じ、手の重みを乗せていきます。左の肩甲骨の辺りから首の後ろにつながる筋肉がじんわりと伸びていくのがわかると思います。約30~60秒キープしたら、反対側も同様に。
こちらのストレッチのポイントととしては手の力で無理に前に倒さないように、手は頭に乗せる感覚でおこなってください。
【ストレートネック改善方法3】あご押し体操
①頭と背すじを真っすぐにする(体の位置は動かさずに、頭をできるだけ前方向に出す)
※頭を前に出すのは、ストレートネックの悪い姿勢を確認するため。
②あごに手を当てて、水平にスライドさせるように後ろへ押す。押すときは、強めにぐっと押す。
あご押し体操をくり返し行うことで頸椎は、本来のカーブを取り戻してきます。習慣づければ、およそ2〜3週間でストレートネックが治り、いつのまにか首のこりや痛みも消えるのです。
【ストレートネック改善方法4】首をゆっくり回すストレッチ
①両手を鎖骨辺りに置き、首を回します。息を吸いながら右から回し、後ろは首に負担をかけないように少し浅めに回して、息を吐きながら前に戻ります。2周行ったら、反対回しも同様に。
こちらのストレッチのポイントとしては鎖骨に置いた手は、軽くなで下ろすように手を置くようにしてください。
【ストレートネック改善方法5】首の前後を伸ばすストレッチ①
①両手は鎖骨辺りに置いたまま、鼻から息を吸って背筋を伸ばします。
②鼻から息をゆっくりと吐きながらアゴを上げ、首を後ろに反らせ目線は上へ。無理し過ぎないように、首の前が気持ちよく伸びるところに位置を決めたら、約5秒キープ。息を吸いながら元の位置に戻り、ゆっくりと息を吐く。
こちらのストレッチをしていて首がつまるような感覚があったら、アゴを上げ過ぎです。少し戻しましょう。
【ストレートネック改善方法6】首の前後を伸ばすストレッチ②
①手を組み後頭部に手を置きます。
②息を吸いながら姿勢をまっすぐに、アゴを引き、息を吐きながら頭を下へ倒します。手は支える程度にし、頭の重みで首の後ろの筋肉を伸ばします。これも約5秒キープ。
③息を吸いながら元の位置に戻り、息を吐きながら手をほどく。
こちらのストレッチは背中を丸めず、位置が決まったら肘と肘を寄せ合うように行ってください。
【ストレートネック改善方法7】テニスボールでストレッチ
①2個の硬球テニスボールを用意してください。
②ガムテープでテニスボール2個を巻いてしっかり固定しましょう。
③準備が完了したらこの「2つにつなげたテニスボール」を、頭と首の境目の部分に当てて、そのまま床に仰向けで寝ましょう!時間は一回3分以内です。
こちらのストレッチはやわらかい布団やベッドの上で行なっては効果がありません。
固いフローリングや畳の上で行ってください。
【ストレートネック改善方法8】フェイスタオルでできるストレッチ
①両手でタオルの端を持ち、首の後ろの真ん中あたりに当て、頭を後ろに軽く倒しつつ両手を斜め上に引っ張ります。(このとき、両手でタオルを前の方に強く引っ張ったまま、首でタオルを後ろへ押すようにするのがポイント。)
②その状態を保ったままゆっくりアゴを引いていき、アゴをのど元に引きつけたところで5秒間キープ。
まとめ【その肩こり、もしかしてストレートネックじゃない?ストレートネックの解説と改善方法について!】
①人間の頭は、”頸椎(けいつい)”と呼ばれる7つの首の骨で支えられており、人間の頭は、成人で体重の約10%とされている。
②首の骨は本来緩やかな湾曲を持っており、ストレートネックとは負担のかかりすぎにより首の骨がまっすぐ一線上になってしまい、顎が前に突き出したような姿勢になる状態のことをいう。
③ストレートネックになってしまう原因としてはスマートフォンをやる際の姿勢、長時間のパソコン作業(デスクワーク)、読書をする際の姿勢、高すぎる枕の使用等があげられる。
いずれも姿勢を注意したり、枕を変えることで対策が可能な場合もある。
④首痛・首こり・背中の張り、寝違い・首の可動域の減少、頭痛・頭重等など非常に多くの症状を引き起こすストレートネックだが、がこれらの症状があったとしても、他の疾患の症状から起因している可能性があるため、ストレートネックかどうかセルフチェックをすることも非常に重要。
⑤ストレートネックの改善、予防のストレッとしては首の側面をほぐすストレッチ、肩甲骨から首につながる筋肉をほぐすストレッチ、あご押し体操、首をゆっくり回すストレッチ、首の前後を伸ばすストレッチ、テニスボールを使用したストレッチ、フェイスタオルでできるストレッチ等があげられる。
以上になります。
ストレートネックは様々な症状生じさせる厄介な存在ですが、予防する事も十分可能です。
日々の生活の中で意識して姿勢を調整しストレッチを取り入れていきましょう。
本記事のライター
「筋トレナースマン」
看護師歴6年目。筋トレ歴はホームトレーニー時代を含めると6年目。医療、解剖学的観点から筋トレにアプローチしていく。ボディメイクを世間に浸透させることが目標。