腰痛と並んで日本国民が悩まされている疾病の1つに肩こりが挙げられます。様々な原因がありますが、肩こりはツボを刺激することで改善が期待できます。ツボってどこにあるのか、どうやって行えばいいのか、気になる方も多いことでしょう。そこで、今回は肩こりに効くツボの場所、効果や注意点などを紹介していきます。
肩こりの原因は姿勢の悪さ!ツボを刺激して筋硬結を和らげよう
肩こりの大きく2つの原因に分けることができます。
1つ目は関節の炎症や内臓不調による関連疼痛、2つ目は姿勢などの生活習慣が原因となる疼痛に分けることができます。
ここでは、ツボを刺激することで疼痛の緩和が期待できる姿勢と、肩こりについてお伝えします。
筋肉には、「縮む」と「緩む」が1セットとなっています。関節を動かすときには縮み、休むときには緩むようにできています。またこの作用は、血流の循環を良くするのにも非常に大切な効果があります。筋肉が縮むと「今、筋肉使ってるよ!」と疲労物質が血液中に放出されます。長時間重たいものを持っていると疲れるのは、これが影響しています。
そして、筋肉が緩むと、その疲労物質が流され、処理してくれる仕組みになっています。筋肉は必要なときに使って、休むときにはしっかりと休ませることで、痛みが出現することなく過ごすことができるようになっています。筋肉がずっと縮んでいる状態、例えば背中が丸くなった悪い姿勢が続くと、筋肉は常に働かされます。
そうすると疲労物質が蓄積するのはもちろんですが、筋肉事態が酸素不足となり、筋肉が異常に硬くなってしまいます。
この状態を筋硬結と言い、肩こりの原因と大半を占めます。背中が丸くなり、頭が首よりも前に飛び出た姿勢が続くと、頭を支える首の後ろの筋肉が筋硬結を起こすようになります。肩こりを緩和させるためには、ツボを刺激し、筋硬結をやわらげる必要が出てきます。
肩こりに効くツボってそもそもなんだろう
一般的にツボと言うと、筋肉が硬くなっていて、押すと痛いけど気持ちが良い場所、と皆さん理解されていると思います。
ツボのことを専門用語で言うと、経穴(けいけつ)と言い、東洋医学の考え方です。
東洋医学では、経絡(けいらく)というエネルギーの道路のようなものが体中を巡っています。気の流れと言われるものです。
ツボとは、経穴、エネルギー道路の中継地点と言えます。高速道路で言うとインターチェンジのようなものです。ですから良いエネルギーも、悪いエネルギーもこのインターチェンジを通って身体中に流れます。良いエネルギーはスムーズに流れてくれますが、悪いエネルギーはインターチェンジのところで渋滞してしまう特性があります。渋滞してしまうと、良いエネルギーも体中を巡ることができなくなってしまい、不健康になってしまいます。
ですからツボ、インターチェンジを刺激し、調整することで、気の流れを良くし、健康を促進しようと試みる事が求められます。
経穴は考え方や時代によって多少の増減がありますが、おおよそ360個近くあると言われています。その経穴360個刺激するのは、非常に時間がかかり、大変ですので、ここでは手軽に行える肩こりに効くツボをご紹介します。
誰でも手軽に!肩こりを良くするツボ
頭を後ろから支える筋肉が肩こりに関係しているとお伝えしてきました。肩こりに関わるほとんどの筋肉が肩甲骨についています。
肩こりの対象となる筋肉で代表的なものに、胸鎖乳突筋、斜角筋、僧帽筋、肩甲挙筋、棘上筋、棘下筋などが挙げられます。更に、腕の筋に筋硬結が生じることでも肩こりを誘発してしまいます。
これらの筋に生じる筋硬結を和らげるツボを紹介します。
肩こりに効くツボ①肩井穴(けんせいけつ)
肩こりに最も重要な筋肉である、僧帽筋に関連したツボです。
僧帽筋は背中から首の付け根についており、非常に大きな筋となっています。僧帽筋で最も筋硬結が出現しやすいのは、首と肩の中央部です。このツボを肩井穴と言います。
このツボは、側頭部とも関連が深く、偏頭痛がある方にもオススメのツボです。
肩こりに効くツボ②附分穴(ふぶんけつ)
肩井穴と同様に僧帽筋に関連したツボです。
肩甲骨の内側を3等分した上側の部分で、肩こりの症状として、多くの方が痛みで悩まされる部位の代表格です。
この部位は、筋肉がとても薄くなっている為、極端に強くする刺激するのはおすすめできません。
肩こりに効くツボ③魄戸穴(はくこけつ)
附分穴のやや下側、肩甲骨の内側を3等分した真ん中の部位にあたります。附分穴と同様に筋が薄くなっている為、注意が必要です。
また、内臓とも深いつながりがあると言われていますので、内臓の変化に注意しながら刺激すると良いでしょう。
肩こりに効くツボ④膏肓穴(こうこうけつ)
魄戸穴のやや下側、肩甲骨の内側を3等分した下の部位にあたります。
魄戸穴と同様に、内臓の変化に注意して刺激するようにしましょう。
肩こりに効くツボ⑤肩外兪穴(けんがいゆ)
僧帽筋と比較すると小さな筋肉ですが、頭を支えるのに非常に貢献してくれているのが肩甲挙筋です。肩甲骨の上端から首の付け根に向かってついている筋肉で、細い筋肉である為、表面からゴリゴリした感覚が掴みやすい筋です。
僧帽筋同様に筋硬結を起こしやすい筋で、肩こりの原因につながりやすいです。肩甲骨の内側を頭に向かって辿っていくと、肩甲骨の上端部、尖ったところが触れます。そこから首の付け根に向かって肩甲挙筋が走行しています。この肩甲挙筋の肩甲骨側にあるツボが肩外兪穴です。
ここは肩全体の疼痛に影響するポイントともなっているので効果絶大です。
肩こりに効くツボ⑥肩中兪穴(けんちゅうゆ)
肩外兪穴と同様に肩甲挙筋に関わるツボとなっています。
肩外兪穴よりも2横指程度上側の部位にあたります。
肩こりに効くツボ⑦秉風穴(へいふうけつ)
腕と体の接続部位を肩関節と言います。当然、繋いでいる筋肉が存在し、肩の根元に付いている肩の動きに非常に重要な筋を棘上筋と言います。腕を吊り下げている筋肉ですので、日頃から相当な負担があります。
また、手を挙げたり、肩を動かしたりする際に、この棘上筋がしっかりと働くことで、スムーズな運動が行えます。
しかし、棘上筋に筋硬結が起こり、機能障害が生じると、肩関節に過度な負担を招き、肩関節に障害を招く恐れがあります。
場所は、肩甲骨を横切る出っ張り、肩甲棘と言いますが、その上部を棘上筋が走行します。その中央部に秉風穴があります。
肩こりに効くツボ⑧天宗穴(てんそうけつ)
棘上筋と同様に、肩関節の動きに大きく関わる棘下筋があります。肩甲骨と腕をつなげる筋肉で、肩関節のスムーズの動きには不可欠な筋です。
部位は肩甲棘の下側にあたるところで、肩甲骨の中央部分に天宗穴というツボがあります。
この部位は腕に伸びる神経とも深いつながりがありますので、腕が重たい感じがする方にオススメです。
肩こりに効くツボ⑨天府穴(てんぷけつ)
肩こりの部位と直接関係しませんが、腕の重さや腕に生じた筋硬結も肩こりの増悪に強く影響します。中でも力こぶの筋肉、上腕二頭筋は肩こりと密接な関係があります。
上腕二頭筋は物を持つとき、肩を挙げるときに働き、買い物袋を腕にぶら下げる際や洗濯物を干す際などには上腕二頭筋が必要とされます。
場所は力こぶができるところで、真ん中よりも手前に天府穴と言われるツボがあります。
ここを刺激することで、腕の重さが解消され、結果的に肩こりの症状緩和につながります。
肩こりに効くツボ⑩白穴(はくけつ)
天府穴と同様に上腕二頭筋で、ちょうど中央あたりに位置します。
腕の重さが解消され、結果的に肩こりの症状緩和につながります。
【番外編】姿勢を改善するツボ
肩こりの部位と直接的な関係ではありませんが、姿勢を改善させないことには肩こりは改善しづらいです。ですので、不良姿勢に関連したツボをご紹介します。
・腎兪穴(じんゆけつ)
体が前傾した不良姿勢をとっていると、腰の筋に過度な負担が強いられ、筋硬結を生じさせることがあります。中でも、無理して頑張ってくれている筋肉として腰腸肋筋があります。
伸びをしたときに背骨の両脇で触れることができる、盛り上がった筋肉です。この筋が筋硬結してしまうと、良い姿勢を保持することができなくなってしまい、結果的に肩こりを引き起こしてしまいます。
それを防ぐべく、腰腸肋筋にある腎兪穴と言うツボがオススメです。
骨盤から握り拳1つ上、背骨近く両脇にあるツボです。
肩こりに効くツボを刺激する際のちょっとしたコツ
肩こりに効くツボを紹介してきましたが、実際にどういった点に注意すべきか、ここではお伝えしていきます。
ツボは専門家からしても、非常に繊細でかつ難しいものです。
どうしてかというと、ツボを調整することで、もちろん良くすることもできますが、一方でかえって悪化させてしまうこともあります。
鍼灸を行うときは非常に微妙な調整をしながら施術を行いますし、針を使用する分、ちょっとのズレが体に大きな変化を及ぼしてしまうこともあります。
また、難しいのは施術される側の個人差が強く影響するといった点です。同じ症状の人に同じように行っても、同じように結果が出ないことも多くあります。
それらを踏まえて、ツボを刺激する際のちょっとしたコツをお伝えします。
【肩こり改善】ツボを刺激する際のコツ①刺激の強さ
強ければ強いほど、押したときに痛ければ痛いほど効果がある、と勘違いしている方も多くいらっしゃいます。ですが、それは間違いです。
痛くする施術法もあるのかもしれませんが、ツボを刺激する際は、むやみに強く行うとかえって悪影響の場合が多い為、注意が必要です。
ではどのくらいの強いが良いか。場所や人によって異なりますが、一番良い目安は痛気持ち良い程度ということです。
痛いほど強い刺激は、筋肉からすると、予期せぬ外からの刺激です。そうすると筋自体が自分を守ろうと硬くなる特徴があります。肩こりで硬くなっていたところを、刺激して余計に硬くしてしまうのでは本末転倒です。
ですから、痛気持ち良い程度が効果的なのです。自分で行う場合は、自分で調整ができますので、痛気持ち良いところで調整します。他人に行ってもらう場合は、その都度、声をかけ教えてあげると効率よく行うことができるでしょう。
【肩こり改善】ツボを刺激する際のコツ②刺激の時間
おおよそ6秒かけて行うと良いでしょう。
2秒かけて少しずつ指圧し、痛気持ち良いところで2秒止め、2秒かけて除圧すると良いです。呼吸に合わせるのも効果的です。指圧するときに息を吐き、除圧するときに息を吸うと筋が緩みやすくなります。
【肩こり改善】ツボを刺激する際のコツ③工夫をしよう
先ほどお伝えしたように、ツボは良くも悪くもなってしまうことを承知の上で、取り組む必要があります。
一度に全てのツボを行ってしまうと、どのツボが自分に合っていて、どのツボが合っていないのかがわからなくなってしまいます。せっかく時間をかけて行っているのに、かえって悪くしてしまっているなんてもったいないです。
日を分けたり、時間を空けたりして、どのツボが自分の肩こりには効果があるのかを工夫しながら行うと良いでしょう。
肩こりに効くツボを刺激するオススメな商品はこれだ!
せっかく肩こりを和らげようとツボを押しているのに、押している方の手が痛くなってしまったなんて方も多くいるかと思います。
ですので、誰でも手軽に行えるアイテムを紹介していきます。
≪肩こりのツボを刺激するオススメ商品≫ツボきーく
ドイツ生まれの軽くて使いやすい指圧器です。
ひとりでは難しい、手の届かない場所の指圧もラクラク行えます。持ち手の部分が持ちやすい形状になっており、肩や腰に無理なくフィットし、ツボを刺激やすいアイテムとなっております。
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≪肩こりのツボを刺激するオススメ商品≫押しローラー SASUKE
コンパクトでスタイリッシュなデザインが魅力的なアイテムです。なんと、マッサージローラと先端圧力棒をこれ1本で兼ね揃えている万能商品です。
マッサージローラーは、例えばむくみの気になるふくらはぎなどを刺激してあげると効果的です。見た目も美しい為、持ち運びに便利で、ちょっとした空き時間に効率良く、ツボ押しが行えます。
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まとめ【肩こりに効くツボがあるって知っていますか?手軽にできる肩こりに効くツボの解説】
・悪い姿勢が肩こりに及ぼす影響
・肩こりに効果のあるツボ
・指圧する際の方法、注意点の紹介
・楽にツボを刺激することのできるアイテムの紹介
いかがでしたでしょうか? 肩こりは悪化すると頭痛やめまいなどの引き金ともなります。日頃の空いた時間を使ってツボを刺激し、肩こりに知らずの体を手に入れましょう。
参考文献:肩こり・腰痛に対する鍼治療、関西理学療法学2:87-91,2002