男性ならクッキリ割れたシックスパック、女性ならキレイな縦ラインの入った腹筋・・・。運動不足を自覚しながらも憧れの腹筋が欲しいものではないでしょうか?
その為にはやはり「腹筋運動」は欠かせません。 そこで初心者向けの腹筋運動の定番「クランチ」について解説していきます。
クランチとはどんな腹筋運動?なぜシックスパックができる?
クランチとは、仰向けに寝た状態から腹筋を使って肩甲骨が離れる程度まで体を起こす運動です。
特別な道具も必要なく、自分が寝られるだけのスペースさえあればOKなので場所も取りません。
首の後ろを手で支えることさえ出来れば、初心者でも怪我をすることなく安全に腹筋を鍛えられる筋力トレーニングです。正しく出来れば腰痛や首の痛みも出ないので、安心してトレーニングに取り組めます。
なぜクランチをすると、ウエストが引き締まっていくかと言うと、腹筋を鍛えると胃や腸といった内臓を押さえつける力がつくためです。
本格的にシックスパックな状態をめざすなら、食事内容の改善運動量を増加させてと体脂肪を落としていく必要もありますが、クランチは腹筋全体に効くため、回数を重ねれば消費カロリーをいくらか増やすことも可能です。
また部分痩せは出来ないとする意見もありますが、手やふくらはぎなど筋肉の動きが多い部分は脂肪がつきにくいことも事実なので、クランチで腹筋全体を積極的に動かしておけば体脂肪は落ちやすくなります。
このようなことからクランチは、男性なら「シックスパック」と呼ばれる割れた腹筋、女性なら縦筋の入った引き締まった腹筋を手に入れる第一歩にふさわしいトレーニングと言えます。
本文では初心者でも出来るクランチのやり方はもちろん、どこの筋肉に効いて、安全で効果的な応用編までひとつずつ解説していきます。
クランチはどこの筋肉に効く??
クランチは腹筋全体に効くトレーニングです。
実は「腹筋」とひと口に言っても具体的には、
- 腹直筋
- 内腹斜筋
- 外腹斜筋
- 腹横筋
と複数あります。
これだけ種類があると、たくさんの種類の腹筋運動をしないといけないと思うかもしれませんが、初心者はまずはクランチからでOKです。
何故かと言うと、6種類の腹筋トレーニングを比較した研究の結果、クランチは腹筋のどの部位にもバランスよく効くということが分かっているからです。
そこでまずは1種類のクランチのみを集中的に始めて、運動になれてきたら様々なバリエーションの腹筋運動にトライしてみてはいかがでしょうか?
いきなり色々な腹筋運動に挑戦しても、完成度の低いトレーニングになる可能性が高くなるばかりではなく首や腰を痛める腹筋運動にもなってしまうので、焦らずクランチに取り組んでみてください。
クランチのやり方と気をつけるポイント
クランチのやり方
- 仰向けに寝て、両膝を90度に曲げて浮かせます。
- 手はあごの下に。首に負担をかけたくない場合は後頭部を支えるようにします。
- 反動を使わずに、みぞおちとおへそを近づけるようにして腹筋に力を入れて肩甲骨を地面から離します。
- 肩甲骨ゆっくりと地面に降ろします。
- 1セットを15~20回として、3~5セット繰り返します(セット間の休憩は30秒程度)。
- 週3回または一日おきのペースで継続していきます。
参考動画
クランチで腹筋に効かせるポイント
- 体を丸めるのではなく、肩甲骨を浮かせる。
- 戻る時は力を抜かずにゆっくりと戻す。
クランチをはじめ、筋力トレーニング全般に言えることですが形をまねるだけでなく、効かせるための注意点があります。
10年ほど前のフィットネスクラブや学校の部活動などでは、「おへそを覗きこむように起き上りましょう」と指導されていましたが、これでは腹直筋の上部にしか効きません。
最近では「目線は真上に保ち肩甲骨を空中に浮かせるように、腹筋全体に力を入れましょう」と言うように指導されていて、より効率的に腹筋を鍛えられるようなトレーニングフォームが推奨されています。
そしてクランチを行う際の「スピード」も重要です。
おすすめは反動を使わず起き上り、一瞬止まってからゆっくり降ろしていくやり方です。
【間違い】反動を使ったやり方の参考動画
反動を使うと楽に起き上ることはできますが、シックスパックを作る目的には最適ではありません。何故なら反動を使うと筋肉が緊張する時間が短くなってしまい、筋肉をつける為に必要な疲労感が得られないからです。
またゆっくり降ろすのも明確な理由があります。
筋肉に力が入る時は筋肉が縮こまるようにギュッと収縮します。これを筋収縮と呼びますが、筋収縮には筋肉の長さの変化から3種類に分けられています。
【3種類の筋収縮】
- 筋肉の長さを変えずに力を出す「静的収縮」
- 筋肉が短くなりながら力を出す「短縮性収縮」
- 筋肉が強制的に引き延ばされながら力を出す「伸張性収縮」
この3種類のうち、最も筋肉が力を発揮するのが「伸張性収縮」です。
伸びながら力を出す?と言ってもなかなかイメージがつかないかもしれませんが、ざっくり言うと「力を抜かずに耐えながらゆっくり動かす」時が伸張性収縮です。
分かりやすい例で言うと、重たい荷物を高い所からゆっくり地面に降ろすことは出来ても、地面から高い所に上げる方がより筋力が必要なイメージではないでしょうか。
これは同じ負荷であっても、筋肉が伸ばされながら(耐えながら)であれば、より大きな力を発揮することができる!と言うことを意味しています。
筋肉が強くなるためには、日常生活よりも大きな力を出すことが必須条件なので伸張性収縮はとても有効な方法です。
もちろん感覚的にはきつく感じますが、その分短い時間で筋肉に刺激を与えることができますし、ダンベルやチューブなど器具を使わなくても筋肉に刺激を与えることが可能になるのです。
話しをクランチに戻して、クランチではどのように筋収縮をしているかと言うと、
- 反動を使わず、体を上げる⇒腹筋が短くなりながら力を出す「短縮性収縮」
- 地面にゆっくり降ろす⇒腹筋が伸ばされながら力を出す「伸張性収縮」
というようになります。
筋収縮を理解して、いつでも・どこでも・短時間で腹筋を鍛えられるイメージをつかんでいきましょう!
次に、クランチを安全に行う為に必要な注意点をお伝えします。
クランチでケガをしないための注意点
クランチは効果的なトレーニングですが、怪我をしない為の注意点もあり、科学的根拠も存在します。
まず注意点ですが、
- 体幹を丸め過ぎない。
- 頭を振らない。
の2点です。
【体幹を丸め過ぎてはいけない理由】
体幹を丸め過ぎると、椎間板に圧力がかかり腰痛になるリスクが増大します。例として、最近ではアメリカ軍が兵士の体力テストから「シットアップ」を除外しています。
シットアップはクランチと違って体を丸めて起き上るため、椎間板への負荷が大きい動作です。
普段から鍛えている屈強な軍人でさえ腰痛のリスクを増やすとしているのであれば、トレーニング初心者はなおさら行う必要はないでしょう。
また、「起き上る運動=腹筋運動」のイメージが強いかもしれませんが、脚を動かないように引っ掛けたり抑えてもらったりして起き上る運動も椎間板への圧力が強まるので、腰痛の危険性が高まります。
【頭を振らない】
起き上ろうとするあまり、頭を勢いよく振ってしまうのも危険です。
筋力が少ない人や、運動不足な状態から頭を振って起き上る動作を繰り返すと、首を痛めてしまうことがあります。
クランチのやり方として、反動を使うべきではない理由でもあります。
なぜ首を痛めてしまうかと言うと、頭の重さは個人差こそありますが3~4kgほどあり、実はボウリングの玉くらいの重さくらいあるからです。
ボウリングの玉を持ち続けていると疲れてしまいますし、そんなに簡単に放り投げたりもできないはずですが、首周りにも同じ負担が知らず知らずのうちにかかっているのです。
もちろん、腹筋を鍛える目的がスポーツのためなのか、シックスパックを作るためなのかで正解は変わります。しかし、少なくとも腹筋を割るためであれば安全第一であることはまちがいありませんね。
怪我をしてしまうと、せっかくの「頑張ろう!」と言う意気込みが消えてしまいかねません。
「継続は力なり」なので安全なやり方で続けていくことが結果につながっていきます。
クランチのバリエーション
ベーシックなクランチに馴れてきたら、様々なバリエーションに挑戦してみましょう!
クランチは基本ですが、筋トレは同じ動作ばかり繰り返していても筋肉が刺激に馴れてしまい、効果を感じにくくなってしまうことが知られています。
気持ち的なリフレッシュにもなるので、是非参考にして欲しいと思います。
ツイストクランチ(内腹斜筋、外腹斜筋)
- 両膝を浮かせて、手を頭の後ろで組みます。
- 右肘を左膝に近づけるように、上体を起こします。
- 手足を入れ替えるように、左肘を右膝に近づけます。
- 1セットを左右合計16~20回をとして、3~5セット繰り返します(セット間の休憩は30秒程度)。
腹直筋よりも、内臓を抑え込む役割が強いのが腹斜筋群です。 シックスパックの主役はクランチで鍛えられる腹直筋ですが、よりウエストを引き締めたいのであればツイストクランチがおすすめです。
運動量も大きくなるので、脂肪燃焼効果が高いのも挑戦していただきたい理由です。
参考動画
バーチカルクランチ(腹直筋)
- 仰向けに寝て、膝を伸ばしたまま両脚とも上に上げておきます。
- 両手は伸ばして上にあげておきます。
- 腹直筋を意識して、上体を上に向かって持ち上げます。
- ゆっくりと地面に降ろします。
- 1セットを15~20回として、3~5セット繰り返します(セット間の休憩は30秒程度)。
通常のクランチよりも負荷を増やしたやり方です。腕の重さに加えて両脚を上に上げる分、腹直筋の下部により刺激が入ります。
クランチでもトレーニングの回数やセット数を増やすことも大切ですが、重さの負荷は限界があります。バーチカルクランチで重量的な負荷を上げることが可能になります。
参考動画
サイドクランチ(外腹斜筋)
- 両膝を曲げて横向きに寝ます。
- 下になった手で頭を支えておきます。
- 脇腹を意識して、肋骨と腰骨を近づけるようにして上半身を起こします。
- 反動を使わずに起こし、ゆっくりと地面に降ろします。
- 1セットを15~20回として、左右交互に2~4セット繰り返します。
くびれを作るのに、より特化したやり方です。
腹筋全体が弱くなると、内臓を押さえつける力が低くなるだけでなく肋骨の動きも鈍くなります。
くびれは肋骨の下部が広がると目立たなくなってしまうので、外に広がった肋骨を体の中心に寄せるようにイメージして脇腹を鍛えていきます。
まとめ【クランチで初心者でもシックスパックを手に入る!腹筋に効くクランチのコツ】
- クランチは地面から肩甲骨が離れるくらい、腹筋全体を使って上半身を起こす運動です。内臓を抑え込んで、ウエストを細くするだけでなく、体脂肪を落とす効果も期待できます。
- クランチは腹直筋、内腹斜筋、外腹斜筋、腹横筋と腹筋全体に効きます。
- クランチのやり方と気をつけるポイントは、
・仰向けに寝て、両膝を90度に曲げて浮かせます。
・手はあごの下に。首に負担をかけたくない場合は後頭部を支えるようにします。
・反動を使わずに、みぞおちとおへそを近づけるようにして腹筋に力を入れて肩甲骨を地面から離します。
・肩甲骨ゆっくりと地面に降ろします。
・1セットを15~20回として、3~5セット繰り返します(セット間の休憩は30秒程度)。
・週3回または一日おきのペースで継続していきます。
・体を丸めるのではなく、肩甲骨を浮かせます⇒ケガの防止。
・伸張性収縮を意識して、効率的に鍛えます。 - クランチでケガをしないための注意点は、
・腰痛予防の為に、体幹を丸め過ぎないようにします。
・首を痛めない為に、頭を振ってクランチを行わないようにします。 - ベーシックなクランチになれて来たら、ツイストクランチ、バーチカルクランチ、サイドクランチなど気になる部位に合わせて応用のクランチも行っていきましょう。
男女を問わず、引き締まったウエストは誰もがあこがれです。
クランチは引き締まったウエスト、クッキリ割れたシックスパックへの第一歩となるので、安全に効果的なやり方を継続していきましょう。