気軽に取り組みやすく、体重を簡単に落とせると話題の糖質制限ダイエット。
糖尿病患者への食事療法をダイエットに応用しています。治療法から派生したダイエットなので栄養学的な考えが基本にあり、方法は簡単ですが注意しなくてはいけないこともあります。
今回は、糖質制限ダイエットについて分かりやすく説明していきます。
糖質制限ダイエット、そもそも糖質とは?
糖質とは、脳や筋肉を動かすエネルギー源となる栄養素の一つです。
食物繊維と共に、炭水化物に含まれています。炭水化物が入っている食品には、毎日の食事に欠かせないご飯や麺類、芋類などがあります。一般的に、糖質と聞くと砂糖やオリゴ糖など甘味料のイメージだと思いますが、ご飯などの主食系も糖質の多い食品です。
糖質制限がダイエットになる仕組み
糖質制限とは、食事で摂る糖質の量を抑えることです。
糖質制限をして体内の糖質量が減少すると、体は糖の代わりに脂肪を使い始めます。つまり糖質制限の食事を続けていくことで、脂肪が使われ体重が減少しダイエットになると言うことです。
さらに糖質制限ダイエットを続けることで、脂肪が体につきづらくなり、結果的に太りづらい体になります。
メリット・デメリットから見る糖質制限ダイエットの特徴
ダイエットや体質改善に効果的な糖質制限ですが、メリット・デメリット共に存在します。ここでは、糖質制限ダイエットの特徴をメリット、デメリットごとに整理していきます。
糖質制限ダイエットのメリット①食事量を減らさなくて良い
糖質制限ダイエットは、糖質の摂取制限でカロリー制限はありません。ご飯や麺類を減らす代わりに、肉や野菜はその分多めに摂取するので全体的な食事量は減らずに済みます。
糖質制限ダイエットのメリット②筋肉を維持しながらできる
筋肉を作る素となるタンパク質(肉や魚)は摂取できるので、筋肉を維持しながらダイエットでききます。
カロリー制限のダイエットでは、タンパク質のカロリーが高いために、その摂取を控えた食事内容となり、体重減少=筋肉の減少となりやすいです。
糖質制限ダイエットのメリット③手軽に始められる
糖質制限の時に摂取しても良い食事とダメな食事に気を付ければ、特別な物を用意することなく始められます。
糖質制限ダイエットのメリット④肌の状態が良くなる
糖質制限ダイエットでは、糖質を制限する代わりにタンパク質や脂質をこれまでよりも摂る様になるため、結果として、ホルモンの分泌が活発になり肌の状態が良くなります。
糖質制限ダイエットのデメリット①もともと糖質が少ない食事をしていた人には効果が出にくい
「主食の量が少ない」「芋類や菓子類を食べない」「ビールなどのお酒も飲まない」のような食生活をしている方は、もともと糖質の摂取量が少ない食生活をしていたので、糖質制限ダイエットをしても効果が出づらい可能性があります。始める前に、自分の食事内容をチェックし糖質制限ダイエットが適しているか確認してみましょう。
糖質制限ダイエットのデメリット②タンパク質や脂肪を増やさないことで食事量が減り栄養が足りなくなる可能性がある
糖質を減らそうとご飯や麺類(主食の量)を減らすため、肉や野菜(おかずの量)を増やさないと、結果的に全体の食事量が減ってしまい、身体の維持に必要な栄養が得られなくなります。
糖質制限ダイエットのデメリット③炭水化物を減らそうとして、食物繊維の摂取量も減ってしまい栄養が偏る
主食(ご飯や麺類)は炭水化物で、糖質と食物繊維でできています。主食を減らすことで、食物繊維の摂取量まで減少してしまいます。海藻や納豆など食物繊維の多く含まれている食品を摂る様にしていくことが大切です。
糖質制限ダイエットのデメリット④体調不良になる人もいる
ダイエットを始めることで、糖質の摂取量が少なくなり不安感や眠気、頭痛、吐き気などの症状を感じる人もいます。
糖質が少ない状態に慣れてくると症状が緩和される人が多いが、症状が出続けた場合は、ダイエットを中断し経過を観察します。必要に応じて医療機関を受診して下さい。
糖質制限ダイエットの始め方と基本的な方法
糖質制限ダイエットは、注意点を守れば簡単にできます。基本的なやり方は糖質の摂取量を減らすこと、注意点は食事量を維持することです。
厚生労働省によると、1日の糖質摂取量(成人)は250〜300gです[1]。
糖質制限では、この1日の糖質摂取量を約半分130gになるように抑えます。
例えば、ご飯1杯(150g)で糖質量55gなので、3食だと165gです。ご飯の量を少し減らして1食分を100gにすると糖質量が40gに減ります。3食でも120gと糖質制限の1日量内に収まります。
他にも、朝・昼・夜のどこか1食のご飯を抜く方法もあります。この方法だと、1日の糖質摂取量は110gとなり、こちらも糖質制限の1日量内に収まります。
3食のご飯を少しずつ減らす方法と、1食のご飯を抜く方法は、どちらも糖質の摂取量が減るのでダイエット効果に変わりはありません。ですが、体への影響を考えた時、よりおすすめなのは3食のご飯を少しずつ減らす方法です。
食事で摂取した糖質は血液で全身に運ばれます。この血液中にある糖質の濃度を血糖値といいますが、血糖値は高すぎても低すぎても体に不調をもたらします。
ご飯を1食抜いた場合、食後の血糖値はご飯を抜かなかった他の食事の時より低くなります。つまり、1日で血糖値の幅がある状態です。一方、ご飯を3食少しずつ減らす方法は、それぞれ食後の血糖値に大きく差が出ないので、体に負担が少ないと言えます。
上記のダイエット方法より、もっと緩やかな糖質制限から始めたい方には、週末のみ糖質制限ダイエットをする方法もあります。どのダイエットも継続することで効果が出てくるので、自分が無理なく取り組めるところから始めるのがおすすめです。
また、主食を減らした分、主菜(肉や魚)と副菜(サラダやおひたし)の量を増やして下さい。人間の体は、食事から摂取する栄養をエネルギーにして活動しています。全体の食事量が減ってしまうと、摂取する栄養が減り活力も減ることになります。ダイエットを効果的に続けるためにも、全体の食事量は減らさない様に注意して下さい。
糖質制限ダイエット中に食べられるも、食べられないもの
糖質制限中は、栄養のバランスが偏りがちになります。避ける食事にばかり目を向けず、タンパク質・脂質を積極的にとりましょう。
糖質制限中の食事では、主食(ご飯、麺類)を減らす代わりに、主菜(肉、魚、卵)と副菜(野菜、豆類、海藻類)の量を増やすことが基本になります。
糖質制限ダイエット中にOKな食事
〇肉・魚・卵
タンパク質・脂質が多く、糖質制限中は積極的に摂取した方が良いです。肉、魚の種類は問いません。注意点として、天ぷらやとんかつ、唐揚げは衣に糖質が含まれているので取らない様にします。
○加工肉、加工魚(ハム、ソーセージ、チクワ等)
添加物の中に糖質が含まれていることがあるので、成分表示を確認しましょう。
○乳製品(チーズ、ヨーグルト)
タンパク質が多くおすすめの食品です。
○野菜(キャベツ・レタスなどの葉物野菜、きのこ類)
ビタミンやミネラルが多く、副菜として積極意的に取り入れましょう。
○豆腐・納豆(豆類)
タンパク質やビタミンBが多く含まれており、肉や魚などと組み合わせて摂りましょう。
○海藻類
糖質制限ダイエット中に不足しがちな食物繊維が多い食品なので積極的に摂取すると良いでしょう。
○果物
グレープフルーツや苺は糖質の量が少ない果物なので、少量なら摂取可能です。
○お酒(ワイン、ブランデー、蒸留酒)
ブランデーやウイスキー等の蒸留酒は糖質が含まれていないので、飲んでも問題ありません。ワインやブランデーも糖質が低いので大量に飲まなければ大丈夫です。
糖質制限ダイエット中にNGな食事
×ご飯、麺類、パン
糖質が高いので量を少なくするか、パンや麺類は糖質カット・糖質オフ製品が出ているので置き換える方法があります。パンにつけるジャムも砂糖が含まれていないものを選ぶようにしましょう。
×野菜(穀類、根菜類、芋類)
とうもろこし、じゃがいも、サツマイモ、人参、ゴボウ、南瓜なども糖質が多めなので避けた方が良いです。
×果物
りんご、ぶどう、バナナ、柿、みかんは糖質が多く含まれています。りんご1個で約16gの糖質量になるので、半分にして食べるなどの工夫が必要です。
×お酒(ビール、日本酒)
醸造酒であるビールや日本酒、カクテルや梅酒にも糖質が多く含まれています。飲みたい場合は、糖質カット・糖質オフのビールや日本酒にすると良いでしょう。
×ケーキ、クッキー、和菓子(菓子類)
糖質(炭水化物と砂糖)が多く含まれているので避けた方が良い食品です。どうしてもおやつが食べたい時は、糖質の少ない果物、もしくは糖質カット製品を取り入れてみて下さい。
糖質制限ダイエット中の食事で気をつけること!
糖質制限ダイエット中にOKな食事・NGな食事の他にも、気をつけるポイントがあります。
それは、味付けに使われている糖質の多い調味料(みりん、調理酒、砂糖、ケチャップ)です。例えば、煮魚には味付けに砂糖やみりんが使われ、オムレツにはケチャップがかけられています。せっかく、主食を減らし魚や卵を多めに摂っても、同時に味付けに含まれる糖質をとってしまうと、ダイエット効果が薄れてしまうので気をつけましょう。
対処法としては、みりんやケチャップ、調理酒を糖質オフ・糖質カットの製品にし、甘みが必要なときには非糖質系の人工甘味料や自然甘味料を使う方法があります。糖質の少ない調味料に置き換えることで今までと同じ食事をすることが可能になります。
知っておくべき、糖質制限ダイエットの注意点
糖質制限ダイエットを始める際には、注意点がいくつかあります。
糖質制限ダイエットの注意点①糖質の摂取量を極端に減らさない
ご飯を全く食べないなど極端な糖質制限から始めると、体調を崩す可能性や体重を減らした後に維持できずリバウンドする可能性があります。糖質摂取量の目安として、1日70gより少なくならない様にしましょう。
糖質制限ダイエットの注意点②食事量を保つ様に心がける
糖質を減らす=主食を減らすことに集中し、主菜や副菜を増やさないと全体の食事量が減り、栄養が不足したり、バランスが偏ったりします。体重が減るので効果が出たと思い、全体の食事量を維持することが見落とされがちになります。
糖質制限ダイエットの注意点③糖質制限ダイエットに軽い運動をプラスする
ダイエットで気をつけたいことの一つに、体重を落とす過程で筋力も落とさないということがあります。筋力を付けたり、維持する意味でも、30分ウォーキングなどの軽い運動をプラスしてみましょう。運動をプラスすることによって、基礎代謝も上がりダイエットに相乗効果が出ます。また、気分転換にもなり、ダイエットを続けていくモチベーション効果も期待できます。
糖質制限ダイエットの注意点④医師への相談が必要な人
腎臓や肝臓に病気がある人は、体内の栄養状態が病気に関係してくるため、糖質制限ダイエットをする際には、医師への相談が必要になります。
まとめ【食べて痩せる!話題の糖質制限ダイエットを解説!】
- 糖質は脳と体を動かすエネルギー源。
- 糖質の摂取を制限することで、脂肪が使われ痩せていくダイエットの仕組み。
- 手軽に始められ食事量を減らさなくて良い反面、効果が出にくい人がいたり、体調不良になったりする人もいる。
- 食事の全体量は保ちながら、糖質の摂取量を一定まで減らすのが基本的な方法。
- 避ける食事に注意しつつ、栄養バランスを考えながら、タンパク質や脂質、ミネラルを含む食事を摂るようにする。
- 軽い運動をプラスすることで相乗効果が出てきてダイエットを継続しやすくなる。
今回は、糖質制限ダイエットについて解説してきました。
糖質制限ダイエットは、効果の感じやすいダイエット法です。それだけではなく、取り組むことで自分の食事内容を振り返るきっかけにもなります。これを機に、ダイエットしながら、食事面からも自分の健康状態をよくできると良いですよね。