手投げになっている!
下半身をもっと意識して!
この記事を読まれる方は野球でボールを投げるとき、そのようなアドバイスを受けていると思います。
ですが、「手投げ」と言っても下半身をどう使ったら手投げにならないのか?そもそも手投げとは?といった疑問が出てきますよね。
そこで今回は、野球での手投げについての簡単な説明から手投げのデメリット、改善方法まで簡単に分かりやすくご紹介いたします。
手投げは肩の故障の原因になることもあり早いうちに直すことが大切ですので、ぜひ参考にしてみてください。
【監修】
小野 剛(おの ごう)
ポジション:投手(右投右打)
2001年にドラフト7位で読売ジャイアンツ入団。
2003年、イタリアセリエAのT&Aサンマリノでプレーし、2004年に西武ライオンズにテスト入団を果たす。その後、2006年に現役引退。
現在は株式会社GSLを経営。さらに、狭山西武ボーイズを設立し、野球塾・学習塾・トレーニングを組み合わせて運営している。
野球でいう手投げとは?
手投げとは、文字通り手でボールを投げている状態のことです。
つまり、下半身の力を上手にボールに伝えられていないため、腕や手だけの力でボールを投げる投げ方です。
この投げ方は、力が上手に伝達できないので、ボールのスピードや飛距離に限界があります。また、腕や肘・肩の故障するリスクが高まる投げ方です。
詳しくは次の「手投げのデメリット」でご紹介します。
手投げのデメリット
手投げのデメリットは大きく分けて4つあります。
- 腕・肘・肩が故障しやすい(=野球肘や野球肩になる可能性が高くなる)
- スピードボールを投げるのに限界がある
- 遠投の距離が伸びない
- コントロールをきかせた球を投げにくい
それぞれのデメリットについて詳しくご紹介します。
①腕・肘・肩が故障しやすい(=野球肘や野球肩になる可能性が高くなる)
下半身を含めた全身の連動性を使わず、限られた上半身の部位で全力の球を投げようとしているため、その部位を酷使していることになります。
それにより、回数を重ねてボールを投げるうちに酷使されている部位が故障しやすくなります。
つまり、野球肘や野球肩になる可能性が高くなります。
②スピードボールを投げるのに限界がある・③遠投の距離が伸びない
手投げは腕や肘・肩といった限られた部位だけの力を使ってボールを投げています。
下半身→体幹→上半身→腕→指と力の連動性を使って投げていないので、腕の筋力のみに頼っているのでボールのスピードには限界があります。また、同様の理由で遠投力も低下してしまいます。
④コントロールをきかせた球を投げにくい
野球で、ボールを狙ったところに投げるには何回も反復練習をし、フォームやリリースポイントがいつも同じになるように体に覚えさせなければいけません。そうすることで、同じ力がボールに伝わり、コントロールされた球を投げることができるからです。
また、この安定したフォームやリリースポイントを身につけるためには、基盤となる下半身をしっかり作りこみ、練習することが大切です。
しかし、「手投げ」の場合は基盤である下半身の力と下半身から伝わる力の連動性を使わずにボールを投げているため、ある一定部分の筋肉のブレーキング作用を利用してボールを投げるため疲労が早く、その筋肉が疲れてきたらコントロールがつかなくなります。
手投げを改善する2つのポイント!
野球では、「投げる」という動作において2つのポイントがあります。
- 体重移動
- 回転運動
これら2つのポイントがきちんとできていれば手投げは自然と矯正されていきます。
しっかり体重移動と回転運動を意識して、下半身から安定したボールを投げましょう。
足を踏み出したとき胸はどこを向いている?体重移動について
体重移動とは、軸足とは反対の足(ステップ足)を上げて、大きく踏み出すまでの動作のことです。
では手投げではどうなっているのか?
詳しく見ていきましょう。
<悪い例>
<良い例>
これらの画像は、軸足と反対側の足を投げる方向に大きく踏み出し、着地する前から完全に着地した時までを細かく切り取った画像です。
上の<悪い例>の画像が手投げと言われる状態で、下の<良い例>の画像が正しい投げ方のフォームです。
それぞれの動作時の胸の方向、つまり「肩の開き」を比べてみましょう。
上<悪い例>のフォームは、ステップ足が着地する前から胸が相手の方向に向いています。また、着地した時には既に回転動作がかけられ骨盤を捻っています。
それに対し、下<良い例>のフォームは軸足と反対側の足を投げる方向に大きく踏み出したときも胸が右方向(ボールを持っている腕の方)にしっかり向いています。また、ステップ足が完全に着地した時も肩の開きを我慢できています。
これにより、下半身の力と腕の力が同じ方向に向かっており、ボールまで下半身の力を伝えることができます。
このように手投げにならずボールにしっかり力を伝えるためには、肩の開きをギリギリまで我慢すること、つまりすぐに胸を相手の方に向けないことを意識しましょう。
骨盤はどこを向いている?回転運動について
回転運動とは、着地した足を支点とし骨盤や肩を回転することによって腕が自然と振られる、という動作です。あくまでも、「腕を振る」ではなく下半身の力によって「腕が振られる」ことを押さえておきましょう。
では、具体的にどういうことか?
下記の画像を見てください。
<悪い例>
<良い例>
上の写真の悪い例と良い例では、分かりやすい部位として骨盤の向きが全く違います。
良い例ではクラブを着けている肩が球を投げる方向にしっかり向いており、体幹も捻ってボールを投げようとしています。投球が終わった後のフォームもしっかり体幹や骨盤が写真では左に向いています。
それに比べて、悪い例では腕だけでボールを投げているため、トップの時もボールを離した後もずっと体幹や骨盤が捻られることがなく、まっすぐ相手の方に向いています。
つまり、体幹・骨盤の回転によって腕が振られるのではなく、自分の腕の力だけで腕を振っていることが分かります。
これが「下半身が使えていない手投げ」とされる原因になりますので、意識して体幹・骨盤を捻り、自然と腕が振られることを体に覚えさせましょう。
まとめ
手投げを直すには
- 体重移動
- 回転運動
がとても大切です。
自分自身が本当にキチンと体重移動と回転運動ができているのかを確認するオススメの方法は、自分のフォームを動画に撮って分析することです。
動画を撮ることで、今回ご紹介した骨盤や胸の位置が本当にできているのかが分かります。
ぜひお試しください。